概要

仙台市水道局では約4,500キロメートルの管路を保有しており、拡張期に集中的に整備してきた多くの管路が、今後更新時期を迎えます。また、更なる水需要の減少により経営環境が厳しさを増す中、将来にわたり持続可能な経営を目的としてアセットマネジメントを推進しています。
水道管路のアセットマネジメントにおいては、現在管種区分ごとに想定使用年数を設定し更新需要見通しを算出していますが、更なるアセットマネジメントの高度化に向けて、管路の劣化予測や中長期的な更新需要見通しの精度向上が課題となっています。これらの課題へ対応するために、AIを活用した管路の老朽度分析を行い、その結果を元に短期事業で優先的に更新すべき管路の抽出と長期的な管路更新需要や管路更新事業効果の算出を行いました。

アセットマネジメントとは

資産の状況を的確に把握し、中長期的な予測を行うとともに、最適な補修や更新により施設を効率的に管理運営していくための手法。

実施体制

民間事業者の保有する技術・知見を活用した管路の劣化予測により、想定使用年数や将来リスクの把握、中長期的な更新需要の把握を行い、事業計画等への活用を目的として業務委託により実施しました。業務委託受託者は公募型プロポーザル方式により応募のあった6社から選定し、以下のとおり実施しました。

  • 業務名 水経総第2023-3号 水道管路アセットマネジメント検討業務委託
  • 受託者 丸紅株式会社 環境インフラプロジェクト部
  • 履行期間 令和5年6月22日から令和6年3月27日

業務委託内容

AIを活用した水道管の破損確率算出

管路の将来にわたる老朽度を把握するため、AIを活用し2025年以降100年間の破損確率を算出しました。

AIによるの破損確率算出の概念図

想定使用年数の設定

従来は想定使用年数を管種区分ごとに設定していましたが、AIを活用して算出した破損確率に基づき、また管種毎の技術特性を加味して管路1本毎に想定使用年数を設定しました。

AIを活用したダクタイル鋳鉄管や鋼管などの管種や技術的評価要素に基づき設定された「想定使用年数」の基準表と、その基準を実際の配管図に当てはめて管路ごとに具体的な年数を割り当てた活用例を、左右に並べて示した図

重要度・更新優先度評価

管路の破損時の影響を考慮して管路毎の重要度を評価しました。また、老朽度(破損確率・想定使用年数)と重要度を併せて更新優先度を評価し、短期事業で優先的に更新すべき管路の抽出を行いました。

縦軸に5段階の「老朽度」、横軸にAからEの5段階の「重要度」をとり、それぞれの組み合わせに対して1から25の優先順位を割り当て、緊急度や対応方針を赤、黄、緑、青、灰の5色で視覚的に分類したマトリックス図
市街地の詳細な道路網に沿って、水道管路の更新優先度や老朽化状況を赤、オレンジ、黄、緑、青の5色で色分けしてマッピングした、アセットマネジメントに基づき管路の維持管理状況を可視化した地図

更新シミュレーションによる事業効果の算出

更新シナリオを設定し、管路更新をシミュレーションすることで想定漏水件数や更新事業費及び事業効果(16種類の指標)の100年間の推移を算出し、現状からの変化(影響量や影響時期)を見える化しました。

2025年から2120年までの長期的な想定漏水件数の推移を折れ線グラフで示し、危険管や老朽管などの更新対象管の割合を積層エリアグラフで重ね合わせることで、現状と将来予測の間に生じるギャップを視覚化したグラフ
2025年から2123年までの長期的な更新事業費の推移予測を、基幹管路と配水支管の積層棒グラフで示し、現状予算規模のラインを上回るピーク時の資金不足(ギャップ)を視覚的に表現したグラフ

成果

AIを活用した水道管路における漏水発生リスクの見える化

管路の材質や埋設時期、過去の漏水履歴、埋設環境等の因果関係をAIで分析することにより、管路1本毎の漏水リスクを把握することが可能となり精度が向上しました。

アセットマネジメントの高度化

AIによる分析結果から、管路1本毎に対して想定使用年数を評価し、その評価結果に基づいた長期的な管路更新需要や事業効果を分析する国内初の取組です。

今後の取組

業務委託成果の活用

AIによる分析結果を基に、様々な条件による管路更新のシミュレーションを行うことで、将来の漏水件数や発生時期の見通しを算出することが可能となりました。今後、このようなシミュレーションを踏まえ、漏水リスクの高い管路から優先して更新する等により大規模断水等のリスクを抑制しながら、現在保有している管路を可能な限り長く使用することで、ライフサイクルコストの縮減を図ります。

更なる分析精度の向上

AIによる分析においては、インプットデータの量や質が精度に大きな影響を与えるため、今回の分析により得られた知見を基に、データの更なる充実と改善を図ります。

水道イノベーション賞「特別賞」を受賞

この取組は、日本水道協会令和6年度水道イノベーション賞において「特別賞」を受賞しました。

水道イノベーション賞とは、公益社団法人日本水道協会が日本水道協会会長表彰の一つとして水道事業に係る優れた取組を表彰するのもので、「特別賞」は、さまざまな工夫を持って課題を解決した取組の中から、大賞に準ずる取組として、多くの水道事業者の参考となる取組に送られるものです。

「令和6年度日本水道協会全国会議」の会場において、大型スクリーンに「水道イノベーション賞授与」と映し出される中、ステージ上で表彰状の授与が行われている様子を遠景から捉えた表彰シーンの写真
ステージ上においてプレゼンターから受賞者へ表彰状が手渡される瞬間を、周囲に並ぶ関係者とともに捉えた授賞式の写真

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 経営企画課 資産管理戦略室

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